自分との距離

誰かといるときだけ、人の形を保てている気がする。一緒にいる人の社交性を吸いとって人間に擬態するさながら宇宙人だ。樹木希林さんがNHKの密着取材で、「たまたま女優という道があっただけで、たくさんの男を騙して保険金をだまし取って殺す女に成りかねなかった。そういう女なのよ、私。」と言っていた。彼女も違う星からやってきた宇宙人なんだろう。わたしたちは段階を経て人間になる。失敗の数だけ人間に近づく。今日すれ違った彼も、彼女も、職場のあの人も宇宙人なのかもしれない。そんなことばかり考えている23歳として、生きる。