秋の音は濁点

葉と空気が触れる音がして、空を見上げたら、風が思いのほか冷たくて、鼻が痛くなった。緑と赤と黄色と茶色の葉が揺らめいていて、美しかった。

 

最近、そこにあるものをあるようにしか受け取らないようになった。『西の魔女が死んだ』のマイのように、相手の態度や言葉の裏をなんとなく引き受けては傷ついていた感受性が、その労働を放棄してしまったみたいだった。

 

そこに存在している何か。人であっても、物であっても、感情であっても、その思想や嗜好をそのまま共有する。勝手に自分のものにしない。あなたの喜びはあなたのもの。でも、あなたが喜んでいる姿を見るとわたしもうれしい。

 

禍々しいまでの青々しさを失って得たものは、秋のような色とりどりの多様性。ザザッとわたしの人生が、新たな季節が、スタートした音が聞こえる。